「愛斗、昼飯食おうぜ」
俺が悩みに悩んでいる間に、もう時間は昼休みになっていた。
直樹が俺の席に近付いて声をかけてきたことにより、俺はカバンから弁当箱を取り出す。
俺の前の席のクラスメイトは、いつも昼休みになると別のクラスに行くため、直樹はそこの席に座って弁当を食べるのが日課になっていた。
弁当箱のふたを開けようとすると、直樹のニヤつく視線が目に映る。
正直、しつこい。
「なんだよ」
「莉奈ちゃんから連絡あった?」
「それが連絡どころか、既読すら付かないんだよ。よっぽど体調悪いっぽいな」
俺が朝送ったメッセージは、いまだに読まれた形跡がなかった。
莉奈が心配で電話しようか迷ったけど、もし本当に体調を崩していたらいけないと思い、連絡するのをやめていた。
「……莉奈ちゃんのこと、心配?」
「さっきからなんだよ」
「だって愛斗、莉奈ちゃんのことになると人が変わったように慌て出すから。そんなに心配なのかなーと」
「当たり前だろ。何度も同じこと言わせんな」
いい加減この話題を変えたくて、俺は直樹の目を見るのをやめた。
莉奈のことを考えるたびに、自分でも理解できないようなモヤモヤとした感情に包まれていることを、直樹に見透かされたくなかった。

