イジワル王子の甘い嘘




「鈍感な王子は一体いつ気付くのかよ」と口にした直樹は、ニヤりとした表情を戻さないまま、時計を指さした。




「ほら、もうすぐ授業始まるから、席に着きなよ」



「直樹、お前一体何を考えてんだよ」



「んー?それは決まってんじゃん。大事な親友が誤った道に進まないように助言してんだよ」



「俺はいつだって正しい道に進んでるけど。直樹のほうがチャラチャラしてて、いつも見てる俺からしたら心配なんだけど」




そう反論してみても、直樹の顔からは余裕そうな態度が感じ取れた。


その表情からはまるで、俺が知らない何かを自分は知っているとでも言いたいような感情が読み取れて。


俺が知らなくて、直樹が知っているものってなんだ……?




「席、戻るわ」



「考えすぎて寝るなよ愛斗」



「俺はお前よりかは真面目なつもりだよ」




そう言い捨てて、俺は自分の席へと向かう。その瞬間に、今日も1日の始まりを告げるチャイムが鳴り響いた。


直樹の態度に、返事がない莉奈。

ふたりに俺の頭と心を占領されたまま受けた授業は、何も頭に入ってこなかった。


……俺は一体、何に気付いてないんだ?