「なんでこんな状況になってるのか分かる?」




愛斗くんファンのリーダー格が、睨むように私に問いかける。


呼び出された理由なんてひとつしかないに決まっている。私はコクリと頷いてみせると、リーダー格は満足げに表情を和らげた。




「なーんだ、自覚あるじゃんか。なら話は早いね。

――愛斗くんに近付くな、ブス」




再び睨むように表情を豹変させたリーダー格に続き、他の女子たちも声を上げる。




「せっかく私らが聞こえるように警告してあげてたのに、若原さん聞いてくれないんだもん。自業自得だよね」



「これを機にしっかり反省したらいいと思うよ?今日で学校終わりだし、2年生から改心して学校に来てもらわないとね」



「ま、もう同じクラスになることはないだろうけど。てか、なりたくないし」



「うわっ!きっつー!!」




勝手に進められる会話に、私は必死に逃げられる術を探していた。


だけどここで大声を出して助けを求めてしまったら、この状況の原因を作っている愛斗くんに迷惑がかかってしまう。


愛斗くんが今まで私が受けてきた色々なことを知ってしまったら、きっと彼は苦しそうな表情を浮かべて、私のことを離してくれなくなる。


――それだけは絶対にいやだ。

愛斗くんを苦しめることだけは、絶対にしたくない。


だけどこのままだと私は、確実に痛い目を見ることになる。

いくら考えても、答えなんて出なかった。