「ま、しかし。愛斗も大変だなー。莉奈ちゃんを追いかけてこの高校に入ることを決めたんだろ?」



「追いかけたわけじゃねぇから。莉奈が悪い男に掴まらないようにするためだから」




俺がわざわざ自宅から遠い、この高校を選んだわけ。

それは、莉奈を他の男から守るためだった。


莉奈のお母さん――おばさんから、莉奈が近場の高校を受けずにこの高校を受験することを知った俺は、

スポーツ推薦でこの高校に入学した。


別に、追いかけたわけじゃない。

ただ莉奈は、少し鈍感なところもあるから、俺が守ってやらないといけないという“幼なじみ”としての使命があったから。


そう。俺たちは幼なじみという糸で繋がっている。




「愛斗は、彼女作んねぇの?お前モテるじゃん」



「そんなことしたら、莉奈を守れねぇだろ」




「本当に愛斗は莉奈ちゃん一筋だな」と呟いた直樹は、口もとを押さえてクスクスを笑っていた。