手枷が欲しいって言うから
ハメてあげたのは随分昔のこと
そのキミが僕の内側で
唐突に破壊を求めた
さあ、いいよ、って言った、さっき
嬉しそうに笑ったのか
もうそんな感情も消し飛んで
裂けてしまうほど大きく
口を開いただけなのか
僕のためにずっと長い間
何もかもガマンしてくれたキミ
口輪が唇に同化するほど
でももう必要ない
殺したいなら殺したらいい
キミに殺られるのもいい
まるで獣のように叫んで暴れているキミが
こんなに愛しい
差し出した指を食いちぎる歯
黒い拘束衣が引き千切られて
キミの白い肌を見た

一瞬でもっと好きになれる
もっと愛していたい
もっとキミを見ていたい
紅い眼でその牙で僕を内側から食い破って
まるで蝶が卵の殻を食べるみたいに
僕が最初の餌になってあげる

好きだ、キミが好きなんだ
どうか僕をその視界に入れてくれ
抱きしめた腕にその牙を沈めてくれ
僕の中の優しい僕