『…そんな土地だから、今でも朝鮮人の霊が彷徨ってるらしいよ…』

『マジかよお前!適当なこと言ってんじゃねぇだろな?』

『いやマジで』
適当である

『それにほら…今もなんか気配感じるし…』

ここで
わっ!!
っと言って驚かす算段だったが
番長の顔色が悪い

ちょっとリアルすぎたか?
そう思っていると

番長の視線は私には向いていないことに気付いた

私のやや斜め後方あたりを凝視している

『冗談やめろよお前…』

なんか変だな
番長の視線を追うように
私も振り向いてみた

そこには
オブジェとして金属製の鎖が壁に飾られていた

その鎖が…

僅かだが揺れている

揺れて
壁に当たり
カツ…カツ…カツ…

風など無い
もちろん誰も触れていない

カツ…カツ…カツ…

すると今度は
ドラムセットのシンバルが
ひぃぃぃぃぃぃぃ…ん
と、何かに共鳴し始めた

私達は慌てて部屋を出た

『お前シャレになってねぇぞ!』
番長の怒号が暗闇に響く

『いや俺もこんなん初めてだし!』

無我夢中で走り
コンビニに辿り着いた

結局私達はそこで朝まで過ごした

それ以来
その部屋でそのような現象は起こらなかった

あれはなんだったのか…
今でもその答えはわかりません

ただ、その事と関係があるのかはわからないが
数日後、何気なく床下を覗いた友人が
錆びた刃物のような物を発見した

私の家は峠の頂上付近

もしかしたら…