「失恋、か...」


まぁ、生きていくしかないのだから、生きていこう。



失恋したくらいで死にやしない。


ただ、心に傷を負い次に進めるか定かでないだけだ。


最終手段は親の決めた人とお見合いでもしよう。



いつまでも歩き続けるのもしんどい、

「帰るか...」


家まで歩くのも億劫だが、結構自宅の近くなのでタクシーも使えない。


むしろ使いたくない、



そんなこんなで自宅に到着。


到着したはいいが何かがこちらを凝視している。


まぁその何かと言うのはあいつなのだけれども...



凝視され、自然と踵を返し来た道を戻ろうとした。


...そうはさせてくれなかったが。



「逃げるのは卑怯だろう」


「来た道を戻ろうとしただけだ」

シャーッと猫のように威嚇してやった


「まぁまぁ、落ち着いて話を聞いてくれたまえ」


一体どの面下げて来たのだこの男は...



「聞いてやらんこともない」


「聞かせてやらんこともない」


「大丈夫だ、聞かなくても生きて行ける」


「聞いてくださいお願いします」


よし、勝った




「で、何の用だ」


「とりあえず、何もしないからそこまで離れるのはやめてくれ」


いやいや、これくらい離れて当たり前だろう。


「いいから話せ」


「...まぁいい。

さっきの話だが...」


「...」


「...おい」


「話していいぞ」


「明らかに耳栓してるだろう

耳栓を外せ」


「気にせず話せ」


「どこから出したのかは知らんが今すぐ耳栓を外せ」


「いいから気にせず続けてくれ」


「...分かった

外さないならこのまま帰る。

じゃあな、」


「...外したから話せ」


「...相当俺の事好きみたいだな」


「相当?

勘違いもはだはだしい、

精神科に行くことを勧める」


「その毒舌も照れ隠しか愛と思えてきてならないんだが...」

「うるさい、さっさと話せ」

「まぁいい...

さっきの話の事だが...」

「乙女の傷を平気でえぐり返すお前に拍手を送るよ」

「乙女?

俺の目の前に乙女はいないが...」

「ふぁっくゆー」

「発音の悪い英語だな、

一から学び直して来い」


「...何故こうも私たちの話は先に進めない、

いいから簡潔に話せ」


「...何故だろうな、


簡潔に?

それは無理な注文だな...


まぁとりあえず、大人しく聞いてくれ。


俺は、結婚を控えた身だ。

...お前の中では。」


「...待て、どういう事だ?」


「いいから黙って聞いていろ。

俺は、両親に結婚を前提に付き合いたい女性がいると伝えた。

それがいつしか俺の結婚、と言う風に多大な間違いは訂正されないまま色んな人に回っていき、お前にも回って来たと言うわけだ。」

「つまり、だ。

お前は結婚しないのか?

でも、相手にも伝わっているなら結婚は秒読みじゃないか。

良かったな、おめでとう」


話を終わらそうとした私に、あいつは大きなため息をこぼした。


「馬鹿にもほどがある...

お前こそ精神科に行くことをお勧めする。」


「馬鹿?

聞き捨てならん。

一体私のどこが馬鹿だと言うのだ、」


「うるさい、

とりあえず黙ってここにいろ」


あいつはそういうと、どこかへ去って行った


そして去り際に、「待っとけよ?」と言い残していった。


これは待っておくべきなのであろうか...?