「おっ!小川が出た!園田がスマホに出ねぇからまじ助かった!
悪いんだけど、今すぐ桐島のエナメルバッグを救護室まで持ってきてもらえるか?」
話す調子で男子部長の眞田先輩だと分かったわたしは、内容を聞くと「分かりました!すぐ行きます!」と言って電話を切った。
そして、そのままわたしは……走り出した。
「おい!お前、足!」
と後ろから大きな声を出す園田先輩の言葉も振り返らずに。
スタンド席から他の子のエナメルバッグを掻き分けながら、桐島のを探して見つけると
肩から桐島のエナメルバッグを下げてまた走り出した。
長い階段を下りて、選手入口から入って救護室に向かってただひたすら走りつづけた。

