「おい、小川」
「…………」
鼻水が出そうになってズルっと吸ったら、さすがに桐島にも聞こえたみたいで
「……泣いてんのか?」
とさっきとは打って変わって優しいトーンで聞いてきた。
「……そうだよ、ひっくだって駅伝で選手になって京大路(全国高校駅伝の通称)で走ることが最大の目標だけど
3000でだって10分切って県で1番になることを目指してたのに……
やっとその一歩に踏み出せたかと思ったのに!
ぐすっ……もう嫌だよ」
わたしの待ち望む優しい返事じゃなくて、いつものように冷めた返事が返ってくるかもしれないのに
この時ばかりは桐島に弱音を吐いてしまったんだ。

