風に恋したキミと




結局、予選は1位で走りきることができた。



でもいつものように達成感は感じない。



「莉桜、お疲れ!!1位でゴールできたね」



「うん……ありがとう」



毎回走り終わった後、さやかにそう言ってもらえてホッとしてるのに今日はざわざわしたままだ。



そしてスパイクを履き替えてからさやかと一緒にスタンド席に戻ると、「小川、ちょっと来い」と橋本先生に呼ばれた。



そこにはスーツを来た見たことない人も橋本先生の隣にいて、いったい何を言われるのかなと心配になりながらもあいさつをした。



「……こんにちは」



声が思わず震えてしまう。なんでわたしが呼ばれたのかさっぱり分からない。



「こちらは藤田さんだ。小川に話があって今日はわざわざ試合を見に来てくれたそうだ」



「こんにちは、私、●●県の●●大学から来ました藤田と申します。先ほどの3000mの小川さんの走り見させていただきましたよ!



1位で走りきってましたね。橋本先生にも聞きましたが、新人戦は県で一番だったとか」



「あっ、はい」



それから藤田さんから名刺をもらったけど、でも全然話が掴めないわたし。



いったい何でこの人と話してるんだろ?