夕陽に向かう、見慣れたはずの背の高い後ろ姿。

レナは思わずカメラを構え、夢中でシャッターを切る。

知らないうちに、遠くへ行ってしまったその背中。

雷に怯えるレナを抱きしめてくれた、その長い腕。

夕陽に照らされ風に揺れる髪。

もう、戻らない、優しい時間。

ファインダーの向こうに広がるユウのいる風景は、どんなに手を伸ばしても、もう手が届かない。

見慣れたはずの優しい背中をもつ人は、レナにとって、もう遠い人だった。