太陽と月に分けられて



顧問から、全国大会の詳細を聞いてから、俺は部屋へと戻っていた。

光輝は、今回は関東大会でギリギリ落ちてしまい、俺だけが全国へと行くことになった。

俺は短距離走が好きだ。

何も考えないで、ただ走ることのできる短距離走が一番よく出来た。


拓:「光輝も見に来ると言っていたしな……一応伝えておくか」


そんな事を無意識に呟きながら、俺は部屋の扉を開けた。

すると、奥から光輝の怒鳴り声が聞こえてきた。


光:「何で黙っていたんだ!!」

ア::「だって…コウちゃんと拓也に迷惑かけたくなかったもん……」


俺は奥の部屋へと進み、二人に声をかけた。


拓:「どうした?」

光:「アヤカがイジメを黙ってたことに対してだ!」

拓:「…それがどうかしたのか?」


俺の言葉に、何か問題でもあったのか、光輝が睨んでくる。

アヤカは、俺と目を合わさずに顔を赤くしているようだ。


一体、何がどうなっている?

イジメは、それほど大事なのだろうか?

殴られたり、それだけじゃないのか?

なるほど、男と女では何かが違うのだろう

それに、この双子だ、お互いの事を何かしら思っているのだろう。


拓:「…別に、俺から離れなきゃ大丈夫なんじゃないのか?」


光輝は勉強で勤しんでいるのだから、俺がアヤカといる方がアイツにとっても楽だろう。


光:「っ…!?ほ、本気で言ってんのか!?」

ア:「っ…/////」

拓:「当たり前だろ?アヤカは俺の好きな人なんだから」


俺の言葉が何かおかしかったのか、二人が顔を赤くして黙った。

だが、光輝は俺の考えていることが分かったらしく、溜め息をついた。


光:「お前なぁ……本当に凄いよな。THE・馬鹿だわ」

拓:「馬鹿?それは俺より頭悪いお前のことだろう?」

光:「は?…ろくに勉強してねぇ、クズに言われたくないし、僕に失礼だろ」

拓:「…そういうものか?」

光:「そういうものだろ」