「っ!?み、三上くん!!?」
拓:「…?おう、そうだけど…?」
俺が入ると、女子達が青ざめながら、必死に俺に笑いかける。
アヤカは驚いて、口を開けているようだ。
拓:「ちょっと、俺、そこに教科書入れっぱだから…」
わざわざ教室まで来た意味を成し遂げようと、俺は自分の席を指差して言った。
そこに、たまたまアヤカが近かったので、俺はアヤカに取ってと言った。
ア:「はいっ、どうぞ」
拓:「おう、さんき…」
その時、タイミング良く俺を呼び出している顧問の声がスピーカーから流れた。
恐らく、来週にある陸上の全国大会のことだろう。
拓:「あー…アヤカ、俺の部屋に置いといて、これ、鍵だから」
ア:「え?あ、う、うん…」
拓:「ありがと、光輝と同じ部屋だから、迷うなよ」
俺はとっとと部室へ向かおうと、廊下に一歩踏み出した時だった。
「み、三上くんは櫻井さんのこと、好きなの?」
拓:「…?」
俺は、誰かが言った言葉に振り返った。
好き…?
それはどういう気持ちなんだ?
必死に、今まで読んだ本の内容を思い出して、好きの意味を見つける。
…そうか、一緒にいて楽なのが、嫌いではないのが『好き』なのか
なら、それはアヤカに当てはまってるのか?
アヤカと光輝は一緒にいることが多い、面倒くさい時もあるが、不思議に嫌と思ったことはない。
最近、俺に表情がついてきたと言われることもあるくらいだ。
これが『好き』なのだろう

