その日の放課後、俺は教室に忘れ物を取りに行っていた。
拓:「…?」
もうとっくに授業も終わったのに、何人かの声がする。
それも女しかいないようだ。
面倒くさい絡みをされると嫌なので、俺はドアに耳をたてて、その話の内容を聞いていた。
「ねえ、月組のくせにアンタ何様?」
「イケメン二人といれて、幸せですかぁ?」
ア:「そんなことないよ、二人ともいい人だから…」
「うわぁ、いい子ぶってる、無いわ」
「本当、うっざぁい、消えろって」
アヤカの声がしていて、話の内容からすると、俺がするべき行動は一つなのだろう。
確か、いつかの道徳の本にそうするべきと書いていたはずだ。
俺は、何のためらいもなくドアを開けて、中に入っていった。
拓:「何してんの?」

