太陽と月に分けられて



人がいなくなった教室で蘭が叫ぶ。


蘭:『あーーーーーーーーー』


叫びよりかは、脱力という声を出す。

それを無言で見る拓也はため息をつき
蘭の前の教卓に座る。

タバコ代わりに棒つきキャンディー
をコロコロと舐めている。


拓:「本当によかったのか?」

蘭:『はい…もう今更心配されても遅いですし』


蘭が苦笑いをしながら言った。

その顔には
隠しきれない不安が映っている。

それを見た拓也が表情を変えず言う。


拓:「あっそ…まあ、俺がいるから安心しろ。苦しい思いなんてさせねえ」


そう言って、蘭の頭をポンと叩く。

さきほどの声とは違い、
芯の通った真っ直ぐな声だった。

それに驚いた蘭は目を見開く。



蘭:「!?」

拓:「まあ、これからよろしく頼む。ほら、とっとと寮に行け」



何も言い返せることなく
蘭は拓也に教室から追い出された。