ー ―‐数年前‐― ー
「きゃー、どうしよっ、あの三上君と同じクラスだよ!?めっちゃチャンスじゃん!」
「しかも、光輝君もCクラスだって!イケメンばっかりじゃない!?」
女子たちの高い声が、頭に響く。
別に睡眠不足じゃ無いが、今日は気分が少し悪い。
俺は、イヤホンを耳にさして窓をじっと見つめていた。
あんな風に、ただ風に揺られるだけで雨が降り、人の力になれる雲を目で追いかけていた。
空っぽで、何も考えなくていい時間は、とある女のせいで壊された。
突然、片方のイヤホンがブチッと耳から外れ、音楽プレイヤーが床に落ちた。
ア:「いたっ…!?あ、ご、ごめんなさい!」
どうやら、俺のコードが長かったのか、それに引っ掛かったらしい。
俺は別にいいよと言って、プレイヤーを拾い上げて再生ボタンを押す。
だが、二度とその画面に光がつくことは無かった。

