俺、三上拓也は詩ヶ丘学園でずっと首席だった。
でも、今でいう小泉のように、望んで努力してなったわけじゃない。
たまたま、物覚えと理解力が驚異的だったというだけのことだった。
8ケタくらいの計算なら暗算でよかったし、陸上も推薦が来たりした。
両親や教師、皆は常にトップの俺をよく誉めた。
だが、俺にはどうやっても、コツコツと努力をしている人間のほうが凄いと思え、努力をしたことがない自分を好きと思うことが出来なかった。
高校受験も、普通に遊んで寝ていたら受かり、入ってからも普通に一番だった。
俺は自分が好きではなく、俺の気持ちを知らない周りも好きではなかった。
だから、常に一人で過ごしていて、それを寂しいと思ったこともなかった。
何よりこの学校の上の奴等は俺を落とすため、取り込むために仲良くしてくるし、月組は太陽組の俺を、トップの俺を好んでなかったんだろう。
そうやって、人と関わらないからか、俺は人の気持ちがよく分からなかった。
何で俺に告白をして、振られたら泣いて俺がわるくなるのか、何でそんなに上にこだわっているのか、俺には全く理解が出来なかった。
本当に、ただ分からなかった。
それは今もあまり変わらない。