その後の蘭の演奏は凄かった。
ホールの観客が息を飲んで彼女に
見惚れるくらいに凄かった。
僕は目をつむって、心地よいヴィオラ
の音を聴いていた。
それから、しばらく僕と蘭は二人で
二重奏の練習をすることになった。
そう、することに……
蘭:『うん!いい感じだね!』
完:「おん、ええ確かに感じやな」
僕たちはそれぞれのレッスンを休み
僕の住んでいる別荘で練習をしていた
あの演奏会から、僕は蘭に片想いを
していると気づいたのは、この話を
圭太にしたときだった。
圭:『お前、そいつのこと好きなん
じゃね?』
圭太のその一言で、僕は確信した。
だけど、当の本人はそんなことを
考えているわけもなく…
蘭:『おっとっと』
完:「何やってんねん、馬鹿女」
少し目を離しただけで、よろけて
転けてしまいそうになり、恐ろしい。
馬鹿女と言われるのが気にくわない
のか、蘭が頬を膨らませる。
僕はその頬をプッシュして、蘭の口
から空気を抜けさした。
蘭はそれが面白かったのか、ニコッと
笑う。
ああ、蘭がおるだけで僕は僕のままで
おれる気がする。
蘭を思うだけで、考えるだけで、
本当の僕を保てれる気がする。
蘭、蘭だけが僕にとっての全てや
蘭のためなら何でもしたる
どんなことも耐えるし、やり遂げる
蘭のヴィオラを聞きながら、僕は
ゆっくりと目を瞑った。

