完:「ちくしょう…アイツ、この僕の
ヴァイオリンまで壊しよったな…」
腹に残っている鋭い痛みを気にもせず
僕は弦の切れたヴァイオリンに手を
伸ばす。
男たちは僕を殴るだけ殴って、
とっとと何処かへ行ってしまった。
恐らく、ヴァイオリンを壊した時に
僕が殴りかかろうとしてきたのが
怖くて逃げたんやろ。
こちとら、だてに極道の息子と
睨みあって殴り合いしとる訳やない。
それなりの恐怖は与えれるやろう。
人が全く通らへんのが幸いか、僕は
ヴァイオリンを抱き締めて、沢山の
ダンボールのある倉庫でうずくまった
別に悔しいとか痛いとかやなくて、
外に出ても、このことを無かった
ように振る舞うのが面倒くさくて
やりたくなかったから…それだけや。
…しばらくしてからか、眩しい光が
僕の目をさしてくる。
蘭:『誰か…いるの?』

