僕の両親は京都で有名な旅館を営み、
着物やホテルなど…全国でも有名な
一条グループの総裁と秘書。
最初はただの上司と部下だったそうで
結構するとは、お互い全く思って
いなかったと言うとった。
両親が忙しいため、演奏会に行くのも
世話係と一緒が多い。
東京で暮らしている僕からしたら、
京都はとても遠いところであり、
今となってはどんな所か思い出すこと
もできひん。
つまり、僕は両親の顔もしばらく
画面越しでしか見てはいないと
いうこと。
それが今更どうした事かと思いながら
僕はリムジンに揺られ考えていた。
膝の上には大切なヴァイオリンの黒い
ケースがのっている。
もう少しですよ、という運転手に返事
をして、僕は見えてきたホールを
窓越しに指でなぞった。
完:(ああ、今日も明日も僕の作り姿
が本物に変わっていきそうで怖い…)
本当に、このままでは僕が僕で
無くなる気がして怖かった。
むしろ、この関西弁が、この態度が
圭太との会話が作り物ではないかと
思えるほどに怖かった。

