蘭:『い、一条君…!?どうしっ…』

完:「……」


人混みが多い中を、完二が黙って
進んでいく。

蘭は腕を掴まれるまま、完二に連れて
いかれる。

とても強い力が手首にかかり、
蘭が顔を歪ませる。


蘭:『いた…いっ……』


そんな蘭の声が聞こえていないのか、
完二はどんどんと進んでいく。


そして、人が少なくなってきた所で
完二の歩く早さがゆるくなる。

蘭は息を切らしながら完二に言った。


蘭:『小泉君…!?何でいきなり…』


完二がその言葉に反応して、ピクッと
震える。

それから、人が全くいない倉の壁に
蘭をぐっと押し当てる。


完:「アンタこそ何なん?俺のことを
他人みたいな扱いしよって、なあ?」


先程とは全く違う話し方に蘭が驚く

少しでも動けば当たりそうな完二の
顔をじっと見つめて固まる。


蘭:『ど、どういうこと?』

完:「はあ?本気で言っとんの?」


完二の顔が恐ろしく冷たい。

蘭は怖くなり、細かく震える。


完:「こんなにも俺を怖がりよって…
ほんま、馬鹿女やなあ…」


馬鹿女という言葉に、蘭が目を見開く

それから大きな声で叫んだ


蘭:『か、完二君!?』


その反応を見てか、完二が呆れた
ようにため息をつく。


完:「はあ…やっと思い出したか
久し振りやな、蘭」