蘭:『…サクラちゃんの代わりに先生
が隣ということですか』

拓:「俺はかわいい生徒達を後ろ
から見守るだけさ、菓子食いながら」


蘭と圭太と凛はバスも新幹線も一番
後ろであり、サクラが退学したため
席がひとつ空いてしまっている。

そこに、何故か拓也が滑り込むという
事態がさっき起こったところだ。

一番前の席は落ち着かないだそうだ。

だが、生徒達ははしゃいでいて、
そんなことに気を留めることもない。


圭:「アンタ、意外とその、ちゃんと
した服着るんだな」

拓:「何だ、俺のセンスのよさに
感動したのか?」


拓也をなんとなく誉める圭太も、
アクセサリーなどをつけて、バランス
のいい服装をしていた。


圭:「お前もなかなか似合ってんぞ」


圭太がそう言って蘭を見る。

蘭はスラッとした体型によく似合う
ズボンやポロシャツを着ていた。


蘭:『そ、そんなことは無いけど…
凛ちゃんの方が可愛いよ』


凛は女子らしい可愛いげのある
ワンピースを着ている。

凛は少し顔を赤くしながら、小さな
声で言った。


凛:「よ、米崎さんのほうが…はい」


拓:「両方似合ってるよ」


拓也が微笑みながら二人を見る。

圭太も頷いて、パンを口にくわえた。


蘭:『あ、そういえば…』


蘭がそれを見て思い出したように、
鞄から大量の棒つきキャンディー
を取り出した。


蘭:『先生に言われたので、沢山
持ってきました!』

拓:「おお、いい心がけだな」


拓也が感心したように何度も頷く。

蘭はその中の一つを取って、包装を
はずし口にくわえる。

それから首をかしげて拓也に言う。


蘭:『あれ?先生に貰った方が、全然
おいしい気がする…』


それを聞いた拓也が真顔で黙り込み、
しばらくしてから口を開いた。


拓:「一旦目を瞑って口開けろ」

蘭:『…?わ、分かりました』


蘭が疑問に思いながらもそれに従う。

すると、拓也が自分と蘭がくわえて
いるキャンディーを交換した。


圭:「!!??」

凛:「…!?」


パンを変なところに飲み込んだのか、
圭太が驚きながら咳き込む。

凛は顔を赤くして、口元を押さえた。


蘭:「あ、美味しい!」

拓:「だろ?俺の手作りだ」


蘭がパッと目を開いて喜ぶ。

それを見た拓也が自慢げに、蘭の口
を指さしてニヤッとした。


圭:「何してんだよ!?」

拓:「え?キャンディーあげた…?」


圭太が涙目になりながら、拓也に
怒鳴り付ける。

拓也は驚いたように普通に答えた。


拓:「え?キャンディー駄目だっけ?」