圭:「おう、おかえり」
蘭:『ただいま!』
蘭が寮に戻ると、眼鏡をかけた奎太が
椅子に座っていた。
蘭は手洗いうがいをして、椅子に
腰掛ける。
圭:「どうしたんだ?薔薇?」
圭太が、蘭の髪に添えてある薔薇に
気づく。
蘭は少し照れながら言った。
蘭:『うん、つけてくれたんだ』
圭:「まあ、似合ってんじゃねえの?」
奎太が軽く頷きながら言った。
それを聞いた蘭は嬉しそうだ。
蘭:『小泉君は何で眼鏡?』
圭:「ん?本、読んでた」
奎太がそう言って本を見せた。
蘭は読んだことがなかったが、
昔から続いている少年漫画のお話を
有名な小説家が書いたものらしい。
とても原作に忠実らしく、原作ファン
の圭太にとって大好きな本なのだ。
圭:「この想像もつかない、だけど
先を見たくなるストーリーが最高に
いいんだよな、分かったか?」
蘭:『そ、そうなんだ…』
圭:「俺が好きなのはこの時の主人公の話でよ、この主人公がまた……」
熱く語り出す圭太を止めることも
できず、蘭はただ頷いた。

