教室に入ると、
そこには沢山の生徒がいた。

さっきまで賑やかだった教室が
一気に静まり返り、蘭に注目する。

あの米崎優の妹だという理由で。

中学生の間でも、
それだけ米崎優は人気なのだ。

突き刺さるような視線を無視して
蘭が自分の番号の机に座る。



『あの子が、米崎先輩の妹?』

『でも、妹は「あっち」らしいよ』

『えー、俺よりダメじゃん』




聞こえているように話しているのか
蘭は思わず耳を塞ぎたくなる。

そこに救いのように
ガラッと教室の扉が開いて
着崩したスーツ姿の男が入ってきた。