蘭はしばらくボーッとしていたが
キャンディーをくわたまま
のんびりと教室を出る。


蘭:『そんなに糖分足りてないの
かな?キャンディー買うかなあ…』


そんなことを呟きながら
寮の方へと歩いていく。

ふと足を止めて横を見てみると
そこには綺麗な果樹園があった。


蘭:『綺麗…』


ビニール越しではあるが、
色とりどりの花達がしっかりと
綺麗に育てられているのが分かる。


?:「綺麗だよね、ここ」

蘭:『ふぇっ』


その草木達に見とれていると、
耳元から透き通るような声がした。

蘭は驚いて右を向くと、
茶髪のアイドルのような男子が
笑顔で立っていた。


完:「ああ、いきなりゴメンね
ここに生徒来るの珍しいから
ついつい声をかけちゃった。
僕は1年A組の一条完二、君は?」

蘭:『あ、1年B組の…米崎、蘭、です』


蘭が笑顔で完二に自己紹介をする。

それとは裏腹に、
自分の名前を遠慮気味に言った。

優の妹だと言われると思った蘭は
完二の顔を怖くて見れず俯く。


完:「蘭ちゃんか、可愛い名前だね
君が誰かの代わりに月組の代表に
なった子か、よろしくね」


とても明るい声が上から降り注ぐ。

蘭は驚いて顔をあげると、
目の前に完二の顔があった。

蘭は驚いて一歩下がろうとするが
完二がそのまま腕を掴んで離さない。


蘭:『え…!?』

完:「…静かにして」


完二が目を瞑って蘭の顔に近づく。

蘭は意味がわからないまま固まる。


チュッと完二が蘭の頬にキスをした。


完:「アメリカでは挨拶代わりなんだ
改めてよろしくね、蘭ちゃん」

蘭:『へー、そうなんだっ…!
うん、よろしくね一条君!』


完二が蘭の笑顔を見て笑顔を返す。

それから二人は果樹園を
回ることにした。