圭:「あんま俺と同じ部屋って
言うなよ。じゃ、開けるぞ」


制服に着替えた二人は
1-Bの教室の扉を開ける。

そこには、どこにでもあるような
騒がしい朝の教室があった。

誰もが自分のやりたいことをしている
いじめなど考えられない教室が。


圭太がそしらぬ顔で教室にはいる。

蘭が静かにその後ろについていく。


何気ない会話をしている生徒たちも
視線だけはその二人に集中する。


麗:「あ、小泉君、おはよぅ」

圭:「ん」


昨日のことを無かったように
麗菜がニコッと笑う。

圭太は短い返事をして席につく。


麗:「ねえ、小泉君は米崎さんと
付き合ってるの?」

圭:「別に、会ってばかりだから」


素っ気なく返事をする圭太。

麗菜はそれを気にすることなく話す。


麗:「そうだよね、あの子と仲良く
しても利益がないしねぇ」

圭:「ああ、そうだな」


圭太が机に突っ伏して目を瞑る。

すると、ガシャンという音が
前の方で聞こえた。


蘭:『きゃっ…!?』

圭:「!?」


蘭の小さな悲鳴を聞いて
ガバッと圭太が顔をあげる。

その目線の先には笑いあう男子達に
髪を引っ張られた蘭がいる。


「おい、お前俺と付き合えよ」

蘭:「だから、いやっ」

神:「や、やめてあげてくださいっ」


近くにいた神谷が
男の手を蘭から振りほどく。

それにカチンときたのか、
男が神谷に殴りかかろうとする。


?:「可愛い女子にそんなことしてたらモテないよ」


かわいらしい、というよりも
芯の通った綺麗な声がした。

男達がその方を見ると
金髪のハーフの女子が立っていた。

その女子は男達をぐっと睨みつける。


圭:「そろそろやめとけ、
見てる方が恥ずかしくなんだよ」


机に顎をのせながら圭太が睨む。

男達はしぶしぶと
蘭の机周辺から離れた。