圭:「悪かったな、実はさっきまでお前のこと適当仲良くしようと思ってた」

蘭:『…』

圭:「でもお前のこと気に入ったよ、真剣に友達になれ。俺の命令だからな」

蘭:『うん…ありがとう』


圭太はギュッと蘭を抱き締めて
自分と彼女を重ねていた。


自分がまだ小さい頃、
よく泣くのを我慢していた。

自分が駄目だからそうなったのだと
泣く権利は無いのだと、
周りに迷惑をかけるわけにないかない

…そう思って泣くことをやめていた。

ある事実を知って
どうしたらいいか分からず
辛かったとき、父が抱き締めてくれた

たったそれだけで、自然に涙が
こぼれ、溢れていった。


蘭もそういう奴だ。

むしろ自分より優しく真っ直ぐな
自分を犠牲にできる人間だろう。


この先が面白そうだ。

隣で話すくらいの価値はあるはずだ。

全てを知り合った仲には遠いが
一緒に飯を食ってやらなくもない。


いろいろなことを考えながら
圭太はギュッと蘭を抱き締めていた。