とりあえず寮部屋に来た蘭達は
テーブルに座っていた。

米崎という名字の蘭は
出席番号最後ということで
寮を一人で使う予定だったのだ。

その空いている一つのベッドに
目の前の男が寝るという。


…どう考えてもおかしいだろう。


蘭:『…で、どういうことでしょうか』

圭:「別にタメでいいぞ」


頭が上手く回転していないような
ぎこちない話し方で蘭が聞く。

奎太はそれを気にすることなく、
平然と話を進めていく。


圭:「まあ、訳あって月組に行かせてくれって頼んだら、三上がここって」

蘭:『…三上先生ですか、なるほど』


つまり、あの適当気だるげ教師は
適当に空いている部屋に
適当に彼を入れたのだろう。

そう考えた蘭は大きなため息をつく。


蘭:『まあ、私は構いませんけど。』

圭:「良いのか。襲われるとか考えねえの?」


普通の女子高生なら一番不安になる
ことを、気にもせずに了承した蘭に、
奎太がストーレートに質問した。

質問を聞いた蘭はキョトンとしてから
苦笑する。


蘭:『私、そんな可愛さも女の子らしさも無いからね。気にもしてなかった』

圭:「余程、自分に自信ねえんだな」


奎太の言葉に、まあねと答える蘭。

それを見た奎太はクスッと笑って
蘭の手を握って言った。


圭:「まあ、折角ルームメイトなんだしよ仲良くしようぜ。よろしくな、蘭」


蘭が握られている自分の手を見る。

しばらくしてからニコッと笑い


蘭:『こちらこそよろしくね、小泉君』


ギュッと手を握り返した。