太陽と月に分けられて



ア:「いたっ…!?」

拓:「ん…?どうした?」


小さい悲鳴をあげたアヤカは、咄嗟に俺から腕を隠す。

俺はそれを気にする必要がないと思い、腕を掴んでじっと見つめた。


そこには、無数の切り傷があった。

何故、そんなに傷があるのか分からなかったが、俺はアヤカに言った。


拓:「これ、痛いのか?」

ア:「あー、うん、ちょっとね」

拓:「そうか、よいしょっと…」


アヤカが、前に紙で指を切ったときに、舐めていたのを思いだした。

それをすれば痛みがおさまるということだろう。

俺はそう思い、アヤカの手首近くの傷を舐めた。


ア:「ひゃっ!?」

拓:「ん?これしたら、治るんだろ?」


アヤカは俺から腕を離し、真っ赤になっている。


拓:「やらない方がよかったか?」

ア:「いや、そうじゃなくて…///」

拓:「…?よく分からないな」


頭の中を必死にかき回すが、アヤカのこの態度に関することが出てこない。

俺がずっと、心の中で首をかしげていると、アヤカが言った。


ア:「わ、私…拓也のこと、好き…なんだ…あ、あはは…」

拓:「そうか、俺も好きだぞ?」


俺がそう言うと、アヤカは俺に抱きついてくる。

これが、好きな人にすることなのか?

ああ、確かに親が子供によくやっていると聞いたことがある。

なるほどな……光輝にもしてみるか…


俺はそんなことを考えながら、アヤカを抱き締め返していた。