ジエンダーラブ

「はぁるちゃぁん、なにかたべたい?」

緊張が伝わってくる。
「あたしは、りんご飴たべたいなー。」

「はいどーぞ。」

翔くんにりんご飴をかってもらった。
手が震えてるのがわかった。

「ありがとう。おいしい。」

翔くんがあたしをみつめてきた
「あたしの顔になにかついてる?」

あたしは頬を触った

「あ、いや、ちがう。」

うん?と顔をしてみせた
光と宏以外には
女の子らしい自分を演じてた

「あ、ごめん。」

「そっか。」
わらってみせた。

気づいたら、二人だった。
修くんから逃げてるのはどこかきづいてた。


翔くんと楽しんだ。
花火が始まる少し前にあたしたちはみんなの元へもどった。

どこにいってるんだよ。と光たちにいわれたあたしたち。


あっ。宏とさや
ばっと、光があたしのまえにたった。
「遙、飲み物買ってきてくれない?」

光はあたしの逃げたい気持ちに気づいてたんだ。

でも、あの近さはおそらくキスだったんだ。

頭の中で巡る光景
浴衣で女の子らしいさや

ひゅーどどどん

花火の音

この花火大会からも逃げたい

涙で視界がぼやけてる

花火もきれいにあたしの目に映らない

もう、なにやってるんだ。

逃げてる自分がなさけない

「なにやってんだよ!ひとりで!あぶねーだろう。」

後ろから声がした。

あたしはとっさに逃げた

あたし宏が好きなんだ
あたしはずっと時間が止まってる

もうこないで
宏は宏は宏は

さやの彼氏なんだよ。

涙は花火の音でかき消される

「まて」

「離してよ」

「光といたんじゃねーのかよ」

そーだ。飲み物かいに頼まれたんだ

戻らないと戻らないと

「飲み物…」

「方向音痴なの?そっち全くちげーじゃん。おまえ、夜にそんな人の気配がないような場所一人でいくなよ。」

「宏はやく、さ」

あたしの口に何かがふれた

「飲み物かわなきゃ」

棒読みになっていた。

あたしは走ってその場からにげた。