こういうとき、現代が恋しくなる。
調べたいことがあっても、すぐには調べられない。
まして、これから起こりうることなどは、絶対に。
私は自分の部屋に向かった。
ここに来たとき…つまり、タイムスリップした時に持ってきたものを確認するために。
一年近く、鞄の中身を見ることがなかったため、何が入っていたか、忘れてしまった。
ほんの少しの希望を抱いて…。
「――あった…。」
そう。
私が探していたのは、電子辞書。
こっちの人たちが見てはいけない情報が載っているかもしれない代物。
私は、部屋の外に誰もいないことを確認し、電子辞書を開く。
幸いにも、電源は普通について、機能にもなにも問題がなかった。
電子辞書の中に、日本史の事典がないか調べる。
「あった…。」
画面にある、日本史の事典の名前。
そこで、明保野亭と打ち込む。
私は静かに電子辞書を閉じた。