私よりも背の高い総司が頭の上で電子辞書を眺めているため、とろうと思って飛び跳ねても、なかなかとれない。
「美奈さん、これなんですか?」
「総司には関係ないっ!!」
「教えてくれなきゃ、返しません!!」
総司がそう言い放ち、私の部屋から飛び出す。
「総司、わかった!!
わかったから、返して!!
何か教えるから!!」
廊下を走る総司に大声で言う。
すると、総司は笑顔でこちらに駆け寄ってきた。
「総司、ちょっと。」
そう言って彼の手をひき、部屋の中に入る。
部屋の障子をピシャッと閉めると
「美奈さん、逢引ですか?」
と冗談を言う総司。
逢引とは、まぁ、簡単に言えば男女の密会だったと思う。
「もうっ、違うってば!!
いい?このことは誰にも言っちゃダメ!!」
「ますます逢引のようですねぇ。」
そんな冗談を言い続ける総司の頭をペシッと一回叩く。
「もう、美奈さん、痛いじゃないですか!!」
そんな文句を言う総司を無視して、話を続けた。


