百花繚乱―新選組―  第二幕



私よりも背の高い総司が頭の上で電子辞書を眺めているため、とろうと思って飛び跳ねても、なかなかとれない。



「美奈さん、これなんですか?」



「総司には関係ないっ!!」


「教えてくれなきゃ、返しません!!」



総司がそう言い放ち、私の部屋から飛び出す。



「総司、わかった!!

わかったから、返して!!
何か教えるから!!」


廊下を走る総司に大声で言う。

すると、総司は笑顔でこちらに駆け寄ってきた。



「総司、ちょっと。」


そう言って彼の手をひき、部屋の中に入る。
部屋の障子をピシャッと閉めると



「美奈さん、逢引ですか?」


と冗談を言う総司。
逢引とは、まぁ、簡単に言えば男女の密会だったと思う。



「もうっ、違うってば!!


いい?このことは誰にも言っちゃダメ!!」



「ますます逢引のようですねぇ。」


そんな冗談を言い続ける総司の頭をペシッと一回叩く。




「もう、美奈さん、痛いじゃないですか!!」


そんな文句を言う総司を無視して、話を続けた。