「あれ?



 あなた、もしかして伝説の鈴?」




 私は前の番人がいなくなってから、妖精の姿になって、次の番人は誰か世界を飛び回って捜していた。


 この姿なら、力が私と同じくらいの人じゃないと、私だとバレることはないから。



 前の番人がいなくなったことが分からなくて、少し捜すことを諦めて、もといた場所へと戻って来ていた。


 私は洞窟の奥で奉られていて、人が入ることは滅多にない。



 そんな洞窟で休んでいたとき。



 どこからこの洞窟に入ったのか、鈴姫は、笑顔で私のことを覗き込んでいて、私にこう言った。



「じゃあ、お友達になろっ!」



「え?」



「だって、私あなたを守る人らしいんだ。



 だから、お友達になればいいでしょ?」




 その言葉で、なぜ彼女がここに入ることが出来たのか理解した。


 まだ若い彼女は、番人の厳しさを知らず、無邪気だった。


 初めてだった。


 こんな私に、友達になろうと言ったのは。





「別に、いいわよ」




「っ!ほんとっ?



 ありがとう、よろしくね!



 あたし、鈴。



 あなた、なんて呼べばいい?」






 彼女は本当に嬉しそうにしていて、こちらもなぜかほっこりとしてしまう。





「私は・・・・・・ムギでいいわ」




「ムギ?



 可愛い名前だね!




 髪の毛の色が麦色だもんね、ぴったりだよ」






 彼女は嬉しそうに微笑んで、私に片手を差し出した。



 私が不思議そうに見上げれば、彼女は私の片手を勝手に掴んで自分の手を握らせた。




「よろしく!」



「・・・・・・ええ」





 彼女には、不思議な引力があった。