クレームの女王

「いやあ……うちの家内が
そのバッグを欲しいって


うるさいもんでね。


どれぐらいするのかと
値段を調べたら数十万円


するじゃないですか。


家内には私の退職金が出たら
買ってくれと言いましたよ。

ハハハ…………………」


刑事が笑っても
麗華はまったく笑っていなかった。


「無駄話をしている暇があるのなら
早く犯人を捕まえて下さい」


麗華にそう言われて
刑事は申し訳無さそうに頭を掻く。

「奥さんの言う通りですね。

すいませんでした。
では失礼します」

頭を下げて刑事は
去ろうとする。

しかし突然麗華に
顔を向けた刑事はニヤリと笑った。

「ではマンションの管理室に行って
怪しい女性の映像を確認してきます。

すぐに犯人を捕まえますから
ご安心下さい」