魔王の娘が勇者になりたいって変ですか?

「あ……
 美味しい」

 タナトスが、言葉をこぼす。

「あら、本当ね」

 プレゲトンも驚く。

「マスター。
 私、ここで働いてもいいですか?」

「え?」

 タナトスの突然の言葉にマスターは、戸惑う。

「このパフェ、私も作りたい」

「いえ、働いてもらうのはかまいません。
 むしろありがたいです。
 ですが、貴方はアンゲロスの方ですよね?
 アンゲロスの上官の方にも許可を得ないことには……」

「大丈夫。
 私、階級的には一花やジョーカーたちと同じだから」

「面白そうね。
 私も、ここで働くわ」

 プレゲトンもそういって笑った。

「……え?
 プレゲトンさんまで、何を……?」

「そうだよ。
 プレさん。
 俺たち、シンクロ率をあげるため暫く一緒に行動するように言われてるじゃないか……」

「だったら、貴方もパンドラ艦に来なさいな
 ってか来なさい!これは命令よ!」

 プレゲトンがそういうとシエラがうなずく。

「そうよ!丹歌くん!
 こっちに来なさいよ!」

 それに賛同するかのように玉藻もうなずく。

「そうだな。
 丹歌、こっちにくるんだ。
 そしたら、記憶が戻るかもしれないぞ?」

 しかし、プレゲトンがため息をつく。

「記憶は戻らないわ。
 よっぽどなことがない限りね……」

「そんなのやってみないとわかんないだろ?」

 焔が、そういうとプレゲトンが何かを言おうとしたがタナトスが言葉を放った。

「そういう呪いなの。
 丹歌がプレさんを扱える呪いを手に入れたとき、丹歌は記憶を失った。
 等価交換よ。
 何かを手に入れたら何かを失う……これは、仕方がないことなの」

 タナトスが、そういうとプレゲトンが小さく言葉を放つ。

「ウチにね、レテって子がいてその子も伝説の三剣のひとりなんだけど……
 その子は、伝説の三剣の能力の覚醒時に『記憶』の記憶を失うの」

「失う?」

 サイアスが、そういうとプレゲトンがゆっくりと話す。

「契約者が死んだときその契約者の記憶をすべて忘れるわ……
 それでずっとあの子は苦しんでいる。
 それを目のあたりにしてるからね……
 できればあまり記憶記憶言わないであげて、丹歌が苦しむところ見たくないから……」

「俺は大丈夫だよ?」

 丹歌がそういうとタナトスが言った。

「大丈夫って言葉がでる時点で大丈夫じゃないよ。
 大丈夫って聞かれて『大丈夫』っていう人ほど大丈夫じゃないの。
 だから、無理しないで」

「無理はしてないよ。
 それにこうやって心配してくれる友だちがいる時点で幸せだったんだと思うんだ。
 だから、俺は大丈夫」

 丹歌は、そういって笑った。