魔王の娘が勇者になりたいって変ですか?

「丹歌。
 お前は、俺たちの知るテルヲじゃないんだな?」

 焔が、まっすぐと丹歌の方を見る。

「ごめんなさい」

 丹歌は、小さく謝った。

「お前、謝ってばっかな」

 焔が、小さく笑う。

「だって覚えてないから……」

 丹歌がそう言うと焔がニッコリと笑う。

「気にするなって!
 忘れたのならそのうち思い出すだろ!」

「そんな楽観的な……」

 シエラが、そう言うとジョーカーも笑う。

「お前、気楽だな?
 好きだぜ!俺はそういうの!」

「深く考えないが俺のモットーなんだ」

 焔が、ケラケラ笑う。

「俺もだ!」

 ジョーカーも釣られて笑う。

「バッカみたい」

 プレゲトンがそう言って冷たい目で焔の方を見る。

「うん?」

 焔が、プレゲトンの方を見る。

「丹歌の記憶は、戻らないわよ」

「どうしてそんなことが言えるんだ?」

 焔が、プレゲトンの方を見る。

「それが、私を扱う時に得た能力の代価だからよ」

「代価?」

「ええ、伝説の三剣の力に目覚めるとき人は何かを失うの」

「失う?
 一姉も何か失ったの?」

 丹歌が一花に尋ねる。
 一花は小さく答える。

「うん。
 憎しみって感情を失ったわ」

 そう言って一花は、小さく笑った。