魔王の娘が勇者になりたいって変ですか?

「まぁ、失ったモンは仕方がない。
 前のコイツのことは知らねぇ……
 俺らはコイツを丹歌として受け入れた。
 ただ、それだけだ」

 ジョーカーが、そう言って丹歌の頭をくしゃくしゃっと撫でた。

「わかった。
 なら余もコイツのことを丹歌として受け入れよう」

 かみさまが、そう言うとシエラは首を横に振る。

「そんなことできないわ!
 この子はテルヲなの!
 誰がどう言おうと――」

 シエラが、涙目でそこまで言いかけたときジョーカーがニッコリと笑う。

「だったらそれでいいんじゃないか?
 コイツの記憶の手がかりは、お前らが知っている。
 俺たちから見ればコイツは丹歌だ。
 だが、お前たちから見ればテルヲ。
 名前なんて飾りだろう?」

「でも、テルヲの中に私は……私たちはいない」

 玉藻が、首を横に振る。

「でも、貴方の心の中に丹歌くんはいる。
 そうでしょう?」

 一花がそう言って静かにうなずく。

「そうだけど……」

 シエラが、うつむく。