その頃の暗黒マスクは、と言うと・・・。



「私に気付かないほどあんなに熱心にメニューを見てるなんて。

 ママ達ったら、よっぽどお腹空いてたんだね」


 よもや『自分と目を合わさないようにしていた』などとは、露ほどにも思っていない加奈。


 脳天気街道を爆走中である。






 ポテポテと歩く加奈の足が不意に止まった。


「歯医者の後に買い物したいなあ。

 野菜とか重いから、家に戻って自転車を取ってこよっと」




 家に向かって駆け出す加奈。




 この時。


 彼女が誰にもすれ違わなかったことが、あのママさんたちにとって再び恐怖へと突き落とすことになるのだった。