「じゃ、店員さん呼ぶね」

 加奈がテーブルに置かれている『ホール係呼び出し用ベル』のボタンを押した。



 ピンポーン。

 店内に音が響く。


 が、誰も来ない。




「あれ?

 気が付かなかったのかな?」




 再びボタンを押す。


 ピンポーン。

 それでも、誰かがやってくる気配がない。


 
 どうやらホール係たちは誰が行くかで、少しもめているらしい。



 こんなテーブル、誰だって近付きたくはないのだろう。