* * *




 「ふぅ〜……はぁーあ」




 あたしは鍵を開けて家のドアを開けると、溜息をついて低い玄関に座り込んだ。



 途端にリュックの重みがなくなり、肩への圧力が和らぐ。





 こんにちは、あたし水宮柚葉。普通の中学二年生。



 ただ、普通じゃないのはパパがいない……母子家庭だということ。





 あたしは立ち上がって、縦に長い靴箱の隣の台に鍵を置くと、運動靴を脱いで廊下を歩く。


 そのままリビングを通って自分の部屋に入った。




 はぁ、疲れたぁ……。



 すぐに教科書がどっさり詰め込まれたリュックを、床に投げつけるように置いて床に座った。




 もう、ホント疲れた。疲れたって言葉しか出てこないよ。


 とりあえず手を洗ってお菓子食べるか……。




 のろのろと立ち上がって洗面所に行き、手洗いうがいを済ませると一直線にリビングへ。


 テレビ横の小さな扉の中には、ママに買いだめしてもらったお菓子があるんだ。



 しばらくそれをあさった後、ポテチの袋を開けてテレビの前のテーブルに移動した。



 
 テレビのリモコンを押し、ソファに寝転がってポテチを摘む――――それがいつもの学校帰りのスタイルだった。