学校に履いていっている白い運動靴を手に引っ掛けて部屋を横断すると、ベランダに靴を置きそこに足を入れ込んだ。



 あたしが靴を履いたのを確認すると、ミミさんはふわりと微笑む。



「今度こそ行きますよ。乗って下さい」




 ミミさんが乗った後ろに跨(マタガ)ると、また不安定で頼りなさ気な竹の柄に我が身を預けていいのか不安に駆られる。

 ……怖い。けど、乗らなくちゃ。

 あたしに会いたいという人も気になるし、ママが帰ってくる前に行って、帰ってこなくちゃ怒られる。



「行きますよ。いいですか?」


「……うん」



 ミミさんにしがみついてるし、大丈夫。この手を離さなければなんの問題もない。


 あたしが頷くと、確かにつま先についていたはずの床の感触がなくなった。

 正に、宙に浮いている。


 足場がなくて不安定で、つい足の筋肉を硬くしてしまう。


 あたしの為なのか元々こうなのかは分からないけど、ゆっくりと周りの景色がスクロールされているみたいに下に動いていく。



 怖い……。



 そんな気持ちを紛らす為か、あたしは忘れていた大事なことを今初めて尋ねた。