「すいません……ここ、家の中ですね。


 窓を割るわけにはいけないので、そうですね……ベランダから行きましょう」




 ミミさんの口から飛び出た言葉にあたしは目を見開いた。

 あたしの期待を返せ……!


 なんかそこだけは普通で、なんかださい。




 とりあえずミミさんの後についてベランダを出ようとすると、靴がないことに気がつく。


 既にベランダに立つミミさんに声を掛けようとした時、目に入った彼女の姿にあたしは言葉を失った。



 玄関や部屋では暗く、陰のせいでよく見えなかった髪や眼の色。

 それが外に出たことで月や電灯の光によって顕(アラワ)になった。



 観葉植物もなにもないベランダに立つミミさんは金髪碧眼。


 ここから見ていると、ふと金髪にメイド服というのは合うんだなぁと思う。


 メイド服は漫画に出てくるような物だけど、動きやすいように考えられているのか無駄に大きなリボンなどはなかった。




 なかなか来ないあたしを不思議に思ってか、ずっと外を見つめていたミミさんが緑っぽい碧眼を部屋に向ける。



「ちょっと靴取ってくるから待ってて!」


 断ってから靴を取りに行く途中にふと思った。

 あ、そういえばミミさん土足じゃん……。