「空元気?」

意味が、わからなかった。

ぼおっと麻衣を見つめる僕の視線の先に、鈴木は気付いていた。

「片桐に決まってるだろ?もしかして、気付かなかったのか?あいつのお腹…」

「え?」

鈴木の言葉に、僕ははっとした。

思わず鈴木を見た。

「普通…大きくなってるだろ」

鈴木は、僕に背を向け、

「詳しくはきけなかったけど……流産したらしいぜ」

歩き出した鈴木に、僕はきいた。

「どうして!」

鈴木は足を止め、少し振り返った。

「だから…知らないって…」

少し睨むように、僕を見た鈴木は、また背を向け、

ゆっくりと歩き出した。


「……女だけで話してのが、少し聞こえたけど…やっぱり、早すぎたんだと。妊娠するのが……さ」

鈴木は、少し小さな声で言うと、手を上げた。

「じゃあな…」

と行きかけて、足を止めた。