「ごめん……今日は、ご飯いらない…」



電話の向こうで怒る母親に、頭を下げてると、

店のドアを開けて、外に出てきた麻衣と…目が合った。

麻衣は妖しく…僕に微笑み、ゆっくりと近づいてきた。

「本当…ごめん…」

携帯を切った僕の首に、麻衣はゆっくりと、手を回してきた。

予想もしていなかった彼女の行動に、動けなくなった僕に、

麻衣はただ…微笑んだ。

その時、彼女の微笑んだ顔の…瞳の…その奥を理解することが、できたなら…

僕は拒んだだろう。



いや、拒むことなんて…できない。

今も、そして未来も…。