心の裏側と素肌の境界線を越える為に

夕陽がいつのまにか、2人を照らしていた。

その眩しさより、そばにいる片桐の方が、俺には眩しかった。


そんな女と、俺は2人でいる。

改めて冷静になると、その事実に驚いた。


今さら…緊張してきた。


「神谷くん」

だから、片桐が俺のことを呼んでいるのに気づかなかった。

「神谷くん」

やっと、俺が気づいた時…2人は公園にいた。

結構広い公園だ。

こんなところ知らなかった。

思わず、キョロキョロしてしまう俺の動きを、

片桐は絡めた腕で止めた。

「え!」

そして、心の準備をする間もなく、

片桐は唇を押し付けてきた。

甘いにおいが、鼻腔の中に広がり、

とろけるような感触が口の中に、広がった。