心の裏側と素肌の境界線を越える為に

「あちゃ〜。言い過ぎたか」

最後の授業が終わっても、教室に帰って来なかった美佳の席を見て、俺は少し反省した。


だけど、今はそれどころではない。

俺が慌てて、片付けをしていると、片桐が横を通り過ぎていった。

俺の方をちらりとも見ない。

本当に待ち合わせをしているのかと、疑いたくなる。

教室を出ていく片桐を見送っていると、

その横から総司が、こっちに近づいてきた。


「太一」

総司の言いたいことは、わかっている。

俺は席を立つと、

「すまん。急いでるんだ」

総司の横をすり抜けた。

「待てよ」

腕を掴まれようになったが、何とか走って逃げた。

「太一!」

「またな!」

俺は手を振りながら、教室から飛び出た。