心の裏側と素肌の境界線を越える為に

「ば、馬鹿じゃないのか!お前ら!」

自分から離れていく俺に向かって、美佳は叫んだ。

「頭おかしんじゃないのかよ!」


あまりにもうるさいから、俺は足を止めた。

振り向くと、美佳を指差し、

「おかしいのは、お前の方だろ!変な男言葉を使いやがって!頭もそうだ!」

俺の言葉は、止まらなくなっていた。

だから、言い過ぎてしまった。

「金髪!似合ってねえんだよ!」

そう言い放つと、俺はすぐに前を向き、歩き出した。

俺が言ったことで、どうなるのか…結果を見る気もなかった。


廊下で、崩れ落ちた美佳の泣き声も、

授業を告げるチャイムで聞こえなかった。


ただ…授業が始まっても、その日…美佳は、教室に戻って来なかった。