心の裏側と素肌の境界線を越える為に

「な!」

目を見開く美佳の横を、平然と片桐が通り過ぎていく。

先程叫んだのは、美佳だった。

美佳は、片桐には声をかけることができずに、

後ろ姿をじっと見つめる俺に駆け寄った。


「太一!お、お前!何しょうとしてたんだよ」

顔を真っ赤にして怒っている美佳を見ることなく、俺は歩き出した。

「見てたんなら、わかるだろ」

キスを邪魔されたことで、俺は不機嫌になっていた。

そんな俺に気付き、美佳はさらに顔を真っ赤にすると、

横を通り過ぎようとする俺に叫んだ。

「ここは、学校だぜ!」


俺は早足になると、

「わかってる」

苛立ちながらもこたえた。