心の裏側と素肌の境界線を越える為に

吸い付くような肌。

前の彼女とは明らかに、違った。

片桐の顔が、すぐそばにあった。


漂う…心地よい香りは、シャンプーだろうか。


「本当に、あたしを好きになれるの?」

片桐の声が近い。

「も、勿論…」


頷く俺から、少しだけ片桐は目をそらし、

「…みんな…そう言うわ」

小声で呟いた。

「え?」

だから、俺にははっきりとは聞こえなかった。

聞き返したが、片桐は繰り返し言うことはなく、

ただ笑顔を向けた。


そして…。


無言で近付く唇が、俺の思考を止めた。