目を見開き、総司を顔を見つめる美佳は、

両手を握り締めると、

顔をそらし、走り出した。

「美佳…」

教室を出ていく美佳の後ろ姿を、悲しげに見送る総司。

唇を噛み締め、少し考えた後、席を立とうとした。


「さっきの台詞…自分自身にかえってくるぞ」

驚いた総司が後ろを振り向くと、正利が立っていた。

「こっちが、心配してやっても…向こうが、あきらめない限り…どうしょうもない」

正利は、総司の肩に手を置くと、立ち上がるのを阻止した。

「今まで…隠してきた気持ちだろう…。そんなことで、おかしくするな」